

Sep 28, 2025
この度、アワビの陸上養殖を行うA'Culture株式会社(千葉県いすみ市、以下、A'Culture)の敷地内で、カギケノリのトン規模での屋外での陸上養殖を開始し、初収穫を実施したことをご報告いたします。
アルヌールはこれまで東京都豊島区にあるR&Dセンターを中心にカギケノリの養殖を行っておりましたが、本年4月に締結したA'Cultureと業務提携に基づき、1000L以上の規模へのスケールアップを目指した実証試験の準備を進めてまいりました。アルヌールのカギケノリの特性についての知見と、A'Cultureがこれまで培ってきた陸上養殖の知識や技術力を組み合わせることで、カギケノリの安定した屋外養殖プロトコルの確立に成功いたしました。夏の海水温が高い季節においても、養殖環境を整えることによって、配偶体と四分胞子体(*注)の両方の生育が可能となりました。養殖に用いる海水には、アワビ養殖用水を用いています。今後は、更なる規模へのスケールアップと、スケールアッププロセスの最適化による生産量の増加を目指して研究開発を行ってまいります。
注:私たちが普段目にするカギケノリは大きな配偶体で、秋ごろ芽生えて冬の間生長し、夏には枯れてしまいます。枯れる前の配偶体は嚢果をつけて果胞子を放出します。果胞子から芽生えるのが四分胞子体で、小さな糸状のからだをしています。アルヌールでは、生産量を最大化するために配偶体と四分胞子体の両方の養殖を研究しています。
◆陸上養殖でのカギケノリ生産量の最大化へ向けて
海藻の生育の指標となる日間生長率(Daily Growth Rate: DGR)は培養開始時の重量をW0、t日後の重量をWtとしたとき、以下の式により求められます。
DGR(%) = [(Wt/W0)^(1/t)-1]×100
屋外陸上養殖において、カギケノリが安定して生育できる環境づくりを試行錯誤しながら検討しました。その結果、一定のDGRを維持しながら生育させ、キログラム単位の収穫ができるようになりました。しかし、培養開始から日が進むごとに培養槽内の密度が高くなって光合成の機会が減り、DGRが減少傾向となります。私たちは高いDGRを維持したまま、最適の時期にさらに大きな培養槽にスケールアップすることで、生産量の最大化を目指します。
◆カギケノリ生産量アップを目指した培養試験の受託
アルヌールでは現在、カギケノリを含む藻類の培養でバイオスティミュラント(植物や土壌により良い生理状態をもたらす、様々な物質や微生物)を用いた場合の培養試験を受託いたします。バイオスティミュラントを用いることで、生育速度や生育量が上昇する場合には培養時間の短縮につなげることができます。また、藻類の持つ機能性成分の含有率の上昇にも寄与する可能性があります。
■A'Culture株式会社について https://a-cul.jp/
会 社 名:A'Culture株式会社
住所:千葉県いすみ市深堀1885番地2
A'Cultureは、千葉県いすみ市内において、漁獲量が激減している国産アワビの課題解決をはかり、日本に日本産のアワビを流通するために持続可能な独自の養殖システムで日本の水産資源を守ることを目指しています。同社には、アワビの陸上養殖やICT化における技術の知識、経験を持ったチームが集結しており、アワビ養殖用水を利用したスジアオノリ養殖や、ナマコ養殖などのアクアポニックス(複合養殖)も行っております。
<報道関係の方からのお問い合わせ>
A'Culture株式会社 IR担当
E-Mail:contact@a-culture.com
