2023年5月9日
株式会社アルヌールは、2020年11月設立以来自社のR&Dセンターにおいて微細藻の安定した「屋内連続培養」を行っております。
この度、鹿児島県の漁業協同組合である山川町漁業協同組合と、海藻である「カギケノリ」によるブルーカーボン及び牛のゲップ由来メタンガスの削減に向け、新たに環境プロジェクト「The Blue COWbon Project(以下「本プロジェクト」という)」を立ち上げました。アルヌールは、2022年12月15日付けプレスリリース「微細藻類による牛のゲップ由来メタン削減効果に関する研究開始のお知らせ」においてお知らせいたしましたとおり、ウシ消化管内発酵メタン産生抑制効果の解明をすることにより、2050年までに、日本が目指す温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現に向けて社会貢献する事を目的としています。
「カギケノリ」は紅藻類という海藻の一種で日本を含む太平洋熱帯海域に生息しており、畜産が盛んなオーストラリアでは「カギケノリ」を牛の飼料に約0.2%混ぜて与えることで、牛の消化過程で発生するメタンガスを最大98%減少させることが確認されています。
参考:「ScienceDirect/Journal of Cleaner Production/Volume 259, 20 June 2020, 120836/Mitigating the carbon footprint and improving productivity of ruminant livestock agriculture using a red seaweed」より
そこでアルヌール及び山川町漁業協同組合では、国内で確立していない「カギケノリ」の海上養殖と屋内養殖の技術開発を共同で行うことといたしました。
山川町漁業協同組合は、かつお節の生産のための、かつおの水揚げが有名であり、また繁殖保護事業、山川湾養殖漁場をおこなっており、近隣の海域では天然の「カギケノリ」の生息も確認されております。環境への取り組みとして、日本の沿岸部で問題とされている磯焼けについても、ワカメの養殖、ヒラメの放流、水産庁の事業として海藻海草の造成を行なっております。
また、カギケノリが実際に生息している鹿児島県は、多様で豊かな自然環境に恵まれており、肉用牛の飼養頭数日本2位の県でもあり、その飼養頭数は350,000頭を超えます。
カギケノリを養殖することにより、水生生物の生活の場として役割を果たす藻場の再生によるCO2削減効果と収穫したカギケノリを飼料に配合することでメタンガスの抑制を畜産の現場で実証し、環境に優しい和牛の商品化までの一助を担えればと、このプロジェクトを立ち上げました。
本プロジェクトでは、「カギケノリ」の生息地である鹿児島県の山川町漁業協同組合と、藻類の培養技術を持つアルヌールと共同で「カギケノリ」の研究と養殖方法確立により安定供給と海上養殖による藻場の回復拡大を目指し、本来の海を取り戻す活動を行ってまいります。
また今後は、本プロジェクトに参加する自治体や企業を募り、海洋国家である日本において「カギケノリ」の大量養殖を海上及び陸上と両側面にて養殖技術の開発および「カギケノリ」による「牛のゲップ由来メタン」の削減かつ微細藻類を配合した栄養のある飼料の開発により持続可能な社会の実現を目指していきます。
※牛のゲップ由来メタン
メタンの温室効果は、温暖化の原因の二酸化炭素の25倍以上であり、1995年に開催された第1回の気候変動枠組条約締約国会議(COP)から「反芻(はんすう)動物(牛、羊、山羊など)のゲップ由来メタンは地球温暖化の要因」と指摘され、世界各国がゲップ対策に取り組んでいます。
■山川町漁業協同組合について http://jf-yamagawa.jp/
組合名:山川町漁業協同組合
住所:鹿児島県指宿市山川福元6717
漁業協同組合紹介:かつおの水揚げ、かつお節生産、いぶすき 菜の花カンパチ、繁殖保護事業、
山川湾養殖漁場